日常に「楽しい」をもっと④ ~けん玉先生~
受講者の半数以上は、学校等で普段、子ども達と接するお仕事をされている方であり、実はけん玉のトッププレーヤーは少数派です。「けん玉先生」になるには、高難度の技ができる必要はなく、5回中に1回、けん先に玉を入れる程度のレベルを参加条件としています。それでも、受講を検討する方々から一番よく届く質問が「(けん玉がそんなに上手くない)私なんかが参加しても本当にいいんですか」という内容です。上手くなければ「けん玉先生」になる資格がない、と考えがちになることも理解できます。でも、本当に必要なのは、子どもたちに楽しさを伝えたいという思いと、研修で習うメソッドを上手く使いながら一緒に楽しむ気持ち、だと考え、条件を設定しています。
けん玉が上達していく人々に、ずっと技術を教え続けることははっきり言えば不可能です。難しい技に挑戦するようになれば、今の時代、動画サイトやSNSにお手本動画や技術的なハウツーは溢れていて、それを見てもらえば良い場合がほとんどです。今後ますます、Eラーニング、IOT(Internet on Things)、AI技術が進化することが確実な今、生身の人間にしかできないことに特化した役割の果たし方が重要だと考えます。
それはつまり、一緒にやって、ともに喜びを分かち合い、がんばりや上達をほめてあげる存在であること。子どもたちが自分から「もっとやりたい!」と思い、自分で、もしくは仲間と共に工夫しながら遊びや練習に熱中するための過程や環境をサポートすることではないでしょうか。2020年以降もけん玉先生がどんどん増えて、「できた!」「楽しい!」の声が広がることを期待しています。
(グローバルけん玉ネットワーク代表 窪田保)
2019年11月28日 「市民タイムス」掲載