日常に「楽しい」をもっと⑨ ~失敗=未成功~
そんな中、この2月は毎日一つずつ、難しい技(これまで成功したことのない技も含めて)に挑戦して、その成功の様子を撮った動画を、「インスタグラム」に投稿しています。これは、アメリカのけん玉団体が毎年2月に実施している企画で、28日間(今年は29日間)毎日けん玉に挑戦する様子を投稿するという内容です。特に順位が付くわけでもなく、賞品があるわけでもない、けん玉好きの、けん玉好きによる、けん玉好きのためのコンテストです。
1人で動画を撮ることもあれば、友人らと複数人で一緒にやることもありますが、一つの動画を撮影する(成功する)のに1時間以上かかることもあります。つまり、1時間ずっと、何百回も同じ技に挑戦して失敗し続け、成功するのは1回だけなのです。苦労した分、成功した時の喜びは別格で、病みつきになる感覚でもあります。
発明王・エジソンに「どうして1万回もの失敗をして、諦めなかったのか?」と聞いたら、「私は失敗などしていない。1万通りのダメな方法を見つけただけだ」という答えが返ってきたという逸話は有名ですが、けん玉も同じかもしれません。
どの遊びもそうですが、失敗するのは当たり前です。いや、失敗は失敗ではなく、エジソン風に考えれば単なる未成功と言い換えることもできます。未成功をひたすら積み重ね、その中からよくなかった点や、部分的にうまくいった時の感覚を拾い集め、体の動きを修正し、最終的に成功するまで挑戦し続けます。
子どもには様々なことに挑戦してほしい、と願う方は多いと思います。その前提になるのが「失敗が許容される」ことであり、そういう土壌や文化を根付かせるための第一歩は、大人も子どもも、遊ぶ中で未成功をたくさん経験すること、だと考えています。
(グローバルけん玉ネットワーク代表 窪田保)
2020年2月13日 「市民タイムス」掲載